実際にあった入浴中の事故例からみる予防方法
入浴中に発生する事故についてご存じだろうか。
入浴の方法を間違えると、事故につながることもある。
実際に救急車が出動した入浴事故の事例をあげ、予防方法を考えてみたい。
高齢者の入浴事故は季節に関わらず発生するが、特に寒い時期に多発する。
全国で毎年多数の人が入浴関連の事故で亡くなっている。
亡くなった方の多くは高齢者で、ほとんどの場合は家庭内での入浴中に発生している。
具体的な事例として、70代男性の事故を挙げる。
熱めの風呂に浸かることが好きな男性は、42度に風呂の温度を設定していた。
お湯の温度が41度を超えると、入浴後10分で体温は約38度に上昇する。
体温の上昇により頭の血流が減少し、男性は意識が薄れ、そのまま湯船で溺れて亡くなった。
意識障害を起こさないためには41度以下に温度を設定すること、高齢者はできるだけ1人で入浴せず、入浴する際は家族へ声掛けするなどの対策が望ましい。
1人暮らしの高齢者は、入浴前後に身近な家族や知人などに連絡すると、いざという時に早期発見ができる。
2つめの事例は、冬に発生することが多いヒートショックだ。
浴室や脱衣所は、他の部屋と比べて室温が低いことが多い。
部屋の温度差が大きいと、急激な血圧上昇や血圧下降により身体に大きな負担がかかる。
80代女性はヒートショックを起こし、家族が気づいた時にはすでに意識がなく、そのまま亡くなった。
寒い時期は入浴前に浴室と脱衣所を温めることが大切だ。
暖房を用意し、浴室のドアを開けておくことで温めることができる。
入浴前にシャワーでお湯を出したり、お風呂のふたを開けておいて浴室を温めるのも良い。